ある日の臨床実習中の一コマ
マッチングのこと考え始めているの?
マッチングのことよくわからないんですけど自分の大学で研修しようかな…
先生の体験談をもとにお勧めを紹介しよう!
医学生のみなさま
そろそろマッチングに対して動き始めたり,考えている時期でしょうか?
だいたい4年生/5年生になり,臨床実習が始まるタイミングで病院見学について動き出しているのが一般的のようです.
”民間医局 レジナビより引用”
ただし,漠然と病院を探すのは労力がかかるので,ここでは大学病院と市中病院ってどっちが良いの?という疑問にお答えします.
市中病院を圧倒的にお勧めします!
なお,大学病院での初期研修を否定する記事ではありません.
良し悪しは人によって異なるため,私の考えと一般論を合わせて話をすすめます.
まず,DYの経歴を紹介します
【1年目〜2年目:初期研修】中核都市の市中病院(700床ほどの救命センター)
【3年目〜5年目:後期研修】中核都市の市中病院(上と別の700床ほどの救命センター)
【6年目:フェロー】そのまま継続して1年間勤務
【7年目】大学病院で総合内科として勤務
【8年目〜】訪問診療クリニックで訪問診療医として勤務
DYの学生時代の考え
DYが実際にマッチングについて考え始めたのは,4年生の春休みでした.
(2010年ごろ,当時は早い方であったかもしれません)
ぼんやりとしたイメージしかなく,とりあえず行動しようと思って6年生まで10施設ほど見学に行きました.
学生時代のイメージは,こんな感じでした.
今思えばぼんやりしていたなーと思い,なかなか系統だった指導や解説がなかった時代でした.
見学を重ね,市中病院が良いと肌で感じてそのまま研修することができ,結果的に医師人生の最初の病院でよかったと思っています.
両方の施設で働いてみた結果ー市中病院がおすすめ
DYは大学病院で初期研修をしたことはありませんが,研修医の指導として色々研修医と話をして,以下の結論を出しています.
その理由は以下の3つ,詳しく解説します.
①common diseaseの症例数が多い
圧倒的にこれに尽きます.
経験値も少ない,知識も少ない初期研修医が座学だけで臨床能力が伸びることはほぼあり得ません.
数多く症例を見て吸収することで,知識も技能も2年間で十分つけることができるはずです.
大学病院を否定するものではありませんが,やはり専門に寄った症例が多いため,後期研修以降に行くことで十分かと思われます.
たくさん学ばせてもらいました
②仲間意識が強め
これは病院の採用人数に関わってきます.
市中病院は1学年多くても20人ほどに対し,大学病院はその倍であることがほとんどです.
いわゆる”たすきがけ”の研修プログラムもあるため,一概に人数だけで語ることはできません.
しかし,やはり人数が多いと『初期研修を共にした仲間』感が薄まります.
自分の経験を仲間と共有できるだけでも,研修のストレスは発散されます.
ただし,ここは人間関係の部分ですので,人によって良し悪しがあるのはいうまでもありません.
今でもみんなで集まって飲みに行く仲です.
③最初に忙しいところで働いていないと,体力がもたない
初期研修をゆっくりした勤務のところで過ごしてしまうと,後でしんどくなると余計に働きづらくなります.
今は不眠不休で当直できても,年を重ねると当直の体力がなくなっていきます.
むしろ,初期研修は誰でも2年間しかありません.
忙殺されそうなところでも,2年間我慢すれば絶対に終わります.
そしてその2年間は非常に貴重な思い出となるはずです.
「若いうちに苦労しなさい」とまでは言いませんが,たくさんの症例を見て忙しい初期研修を過ごせたら,3年目からもどこでも働ける気になります.
むしろ,(今忙しくてしんどい…)と思っている研修医の皆さんは,2年間だけだから!と心に留めて頑張りましょう.
それは,以下にも触れるような症例数の多さからきているためです.
ただし,研修科や施設の大きさなどにも依存します.
大学病院はやはり専門科として希少疾患などを取り扱ったりする病院なので,必然的に症例数が減ります.
初期研修で重要なのは,
「専門性の高い疾患をみて深い知識をつける」
よりも
「common diseaseを数多く見て,頻度の多い疾患・症候に対して対応できるようになる」
ことだと思っています.
みなさんの医師人生に対する考えにもよります.
が,ローテート形式の初期研修ではどっちが良いでしょう?
ただし,これは例外もあります.
下の大学病院での研修をお勧めしたい人で詳しく書きます.
”2011年 厚生労働省 臨床研修病院における研修医の処遇”より引用
給料が良いからという理由のみで市中病院を選択する人はあまりいないと思いますが,参考になるデータです.
市中病院のデメリット
市中病院をおすすめし,そのメリットのみお伝えしましたが,もちろんデメリットもあります.
これは大学病院と反対なのですが,市中病院もピンキリです.
中には症例が少ない病院や指導医が少ない病院があります.
これを客観的に評価するには,以下の2点しかありません.
- 医師数・指導医数
これはいうまでもありません.病床数とともに,医師の数も確認しておきましょう.
- 救急外来患者(総患者数・救急車搬送台数)
研修医が最も長くいる部署として救急外来があります.
長くいる部署=最も患者の診療を行う場所でもあるため.どれくらい経験できるかということの参考にはなると思います.
あとは,病院見学時に研修医に聞くこととして,
- 内科研修中に担当医としてついた患者さんの数(最大)
- 救急当直中の症例数(1日あたり)
が挙げられます.実際の声を聞くことはとても重要です.
大学病院での研修をお勧めしたい人
ここまで市中病院について詳しく書きましたが,大学病院の方が良いよ!という人もいます.
大学病院の特徴から,大学病院をお勧めする人はこちら
※大学医局でそのようなところはあまり聞きませんが…
ということになります.
まとめ
みなさんがどの専門科に進むか,どのような医師人生を目指しているかでお勧めできる初期研修も変わります.
専門科が決まっていない,内科/外科のどこにしよう?などはっきり決まっていないのであれば,
まずはたくさんの症例を経験できる市中病院で研修をお勧めします!